夜を縫う地図師は希望を売らない
記憶を縫えば真実が光る。でも、その針目は自分の過去を切り取る。
あらすじ
港町の夜に、小さな帳場で針を動かす地図師・縫影。彼の作る「夜の地図」は、人々の断片的な証言を糸で繋ぎ、呪いが隠した場所と仕組みを浮かび上がらせる力を持つ。ただしその代償は重く、声や記憶を集めれば集めるほど、縫影自身の過去の一部が失われていく。統署という権力や、救済を巡る民衆の切迫した選択、仲間たちとの綱渡りのような共同作業が交錯する中で、彼は「希望は売らない」という信念と、救いに向かう現実のはざまで決断を迫られていく。記憶と真実、他者の意思をどう扱うかを問う群像譚。