潮目を編む少年と、沈まない海図
音と数式で潮目を編む、十五歳の選択。
あらすじ
十五歳のトウヤは、海と触れることで潮流を編み替える力「綴潮」を持つ。海底の地形と鐘の余韻、古い航路帳の断片──数式と観測だけでは救えない現場で、彼は手の速さと人の声を秤にかけながら学んでいく。村を脅かす黒い帆と、海底に集中した渦の輪が迫る中、灯台守ミレアや航路記録官ラド、村人たちとともに、鐘の合図と潮環盤の記録を合わせて三つの流れに分ける計画を立てる。計算と感覚、責任と代償が交差する緊迫した場面描写と、海の音や光を手繰る共同作業が読みどころ。彼らの選択は村の未来に小さな変化をもたらすが、海の問いはまだ完全には解かれていない。