異世界転生星図師の皇帝

異世界転生星図師の皇帝 第8話「第7章」

砂漠の風が、集会の幕を揺らした。レンは自分の星図帳を膝の上に抱え、焚火の周りに集まった人々の顔を見渡した。彼が今したいことははっきりしていた。今夜までに、移動中の一隊が安全に通れる夜路を記し、その帰路を確かなものにすること。しかしその前に立ちはだかるのは、皇帝の使節――保護を餌に土地を囲わせようとする官吏の言葉と、囲いを望す者たちの恐れだった。守る相手は、彼の膝の傍らで片膝を抱え、唇を震わせる若母や、夕陽の中で鼻歌を歌っていた小さな羊使い、そして自分に最初に助けを求めた遊牧の一族全体である。

砂漠の風が、集会の幕を揺らした。レンは自分の星図帳を膝の上に抱え、焚火の周りに集まった人々の顔を見渡した。彼が今したいことははっきりしていた。今夜までに、移動中の一隊が安全に通れる夜路を記し、その帰路を確かなものにすること。しかしその前に立ちはだかるのは、皇帝の使節――保護を餌に土地を囲わせようとする官吏の言葉と、囲いを望す者たちの恐れだった。守る相手は、彼の膝の傍らで片膝を抱え、唇を震わせる若母や、夕陽の中で鼻歌を歌っていた小さな羊使い、そして自分に最初に助けを求めた遊牧の一族全体である。

「レン・星図師。あなたが本当に救えるなら、皇帝の囲いを受けて安定を得た方がいいという者もいるよ」使節の声は絹のように滑らかだった。彼は黒い袍を着て、胸に刺繍された図形の中心に一つだけ空白を残していた。見つめれば、そこには星がない。何かが欠けて空虚が正装の紋章に組み込まれているように見えた。

「囲いを引けば、通行は制御され、税は確実に納められる。皇帝は保護を約束する。放浪は危険だ。安定はあなた方の命を守る」

焚火の灯りが使節の顔を鋭く縁取り、人々の間にざわめきが起こる。囲い。安定。保障。願いと恐れは別の面を持つ同じ貨幣のように、手の中で転がった。

レンは膝の上の星図帳を押さえ直した。星図帳の紙は夜の砂の匂いを帯びている。彼の固有能力は、ただ一つの厳格な条件でしか働かない。仲間が実際に夜に歩いた道だけを、星図に安全な帰路として刻める。自分一人で想像し、線を引いても、空白の紙に絵を描くのと同じだ。それどころか、誰かの土地を勝手に囲ってしまえば、書き付けた星は消え、その代わりにレンの故郷の記憶が一つずつ薄れてゆくという禁忌がある。過去にその代償を味わったからこそ、彼は指先にその痛みの反応を知っている。

使節が言葉を続ける。「もちろん、囲いは任意だ。レン。あなたが星図を引くなら、皇帝の名の下で公認してやろう。保護も法的効力も付けて。」

ざわめきが大きくなった。若母の目に、かすかな光が宿る。羊使いは無邪気に笑った。安定は希望であり、脅威だった。

レンはゆっくりと立ち上がった。焚火の赤が彼の頬を照らし、唇は乾いていたが声は平静を保った。「囲うことは、あなた方の選択を奪うことです。私の星図に線を置く権限は、私一人にはない。道は歩く人々のものです」

使節は薄く笑った。「理想論だね、星図師。だが理想は空腹を満たさない。囲いがあれば略奪も少なくなる。街道の保安隊も設置できる。君の能力は便利に使える」

「便利にするために人を閉じ込めるつもりなら、私は使われない」レンの指が星図帳の端を押し当てる。帳は柔らかく、彼の掌に馴染む。周りの人々の視線が帳に集まる。使節はすこし苛立ったように眉を顰めた。「ならば、示してみろ」と彼は命じるように言った。

空気が突如、重くなる。公開での示威を求める声は、作戦の半分を占める問いかけだった。対面の者たちはそれぞれに思惑を抱えている。誰が安定を求め、誰が自由を守りたいのか。レンはわかっていた。示してしまえば、彼の選択の余地は狭まり、囲いを受け入れる勢力が強まるかもしれない。だが沈黙もまた同じくらい危うかった。彼は息を吸い、星図帳を開いた。

「いいでしょう。だが、ここで何かを作るなら、皆の歩行が必要です。書かれた線は歩かれた跡の裏付けがなくては死文字です」レンは紙の上に指先を滑らせ、星の群れを指差した。使節は興味深げに覗き込む。「あなたが望むなら、ここに線を引いて土地を区切ればいい。皇帝の公認があれば、侵略も追放も法になる。あなたの力はそれを可能にする」

言葉が終わるのを待たず、使節は手早く巻物を取り出した。そこには囲いを示す規定の形式が既に用意されている。墨で引かれた線は滑らかで、囲われる領域の周縁は確かに整っている。官吏の準備はいつでも速やかだ。だがレンの手は、その巻物に触れることを拒んだ。

彼は代わりに、自らの星図に細い輪をちょっとだけ描き込み、誰かの土地を象徴する小さな囲いを試験的に作ってみるつもりになった。それは抗議の意味もあった。もし自分が囲いを引けば何が起きるのか、周囲に示すための証拠として。

指先が紙の上に下りる。輪郭はほんの一瞬で形作られた。だが、彼の内側に冷たい衝撃が走った。星一つが、輪の端でふっと視界から消えた。同時に、レンの胸の奥で、小さな温度が抜けた。母の台所の匂い——焼けた小麦粉と黒い鉄鍋——その感触がふわりと薄れていく。言葉にするなら、幼い頃に踏んだ裏庭の砂利の冷たさを、彼は思い出せない。代償が、即座に来た。

焚火の周囲に沈黙が落ちる。若母が息を詰め、羊使いの口がわずかに開いた。使節の顔に、計算の色が浮かぶ。レンは急いで円を擦り消した。紙の上の輪は消え、残ったのは微かな黒い痕跡だけだ。だが星は消えたままだ。彼は胸を押さえ、記憶の欠けに耐えた。消えたものが戻ることはないと、彼は知っている。

「見たか?」使節が冷たく笑った。「我々は保護と言い、安全と言う。その代わりに何を要求されるか、君もわかったはずだ。君の力は我々のために働くと喜ばしい。さあ、どうする?」

レンは視線を上げ、焚火を囲む人々の顔を一つずつ見渡した。彼らの多くは恐れで硬直している。だが数人は計算した顔で、温かい未来を想像している。アシュという名の中年の群長が、彼の横で手を組んでいた。アシュは一歩前に出て、低い声で言った。「囲いには利がある。子らが安全に歩けるなら、私は一定の場所を持つのを拒まない。変わる生活は恐ろしいが、飢えも恐ろしい」

「アシュさん……」若母が小声で抗った。「しかし、私たちの道を奪われるのは……」

「奪われるようにせず、合意でやる方法だってある」アシュは手を振った。彼は力強く、説得の言葉を続け、「皇帝の保護を受ければ、強盗も少なくなる。子供たちに学びの場も用意される。定住を望む者には道が開かれる」と語った。

レンはアシュの言葉に反発を覚えたが、そこで口を挟むのではない。仲間は道具じゃない。彼らは自分の判断を持つ人間だ。レンはその意志を尊重する一方で、囲いがもたらすものの影を語らなければならなかった。「囲いが与える安定は、星に書かれた名を文字通り消すかもしれない。星図の線が囲いの中に閉じられたとき、私が持つ記憶のいくつかが消える——それは私個人の痛みだけではない。星が消えるということは、道が消えるということだ。夜に迷ったとき、指針がなくなる。囲いは安全を約束して見せても、同時に別の種類の閉塞を作る」

使節は舌を鳴らし、周囲の者たちに言葉を向けた。「星図師は詩人だ。気にしなくてよい。法の下で囲いは守られる。君らを守るための制度だ」

レンはもう一度、はっきりと言った。「私が星図に線を引くのは、歩いた跡を確認できたときだけです。君たちが夜に歩き、星砂を足の裏に刻む。その共同の歩行を私は記す。だが誰かの土地を、望まぬまま囲ってはならない。あなたの囲いは、私の能力を強制する罠です」

会場は静まり返った。使節の唇が固く結ばれ、すぐに冷たい声が戻る。「君が拒むなら、皇帝は他の者を使うだろう。便利な技術は代わりがある。だが我々は約束しよう。反逆や略奪を働けば、囲