月綴りの灯守り
灯りで縫い、欠落を取り戻す。静かな夜の旅。
あらすじ
ルナは、かつて照明技師・天城透だった記憶を抱えた若い織り手。村で満月を写すという「核糸」が消え、徴税役人による織機の接収や街からの“記憶の欠落”が静かに広がる。ルナは鍛冶見習いミナや旅芸人カイら仲間と共に、銀針と灯火を手に「照縫」と呼ばれる光の技で夜帳の輪郭を織り直し、奪われた夜と失われた記憶の行方を追う。劇場や廃駅、王都の白い街並みに響く半音や縫い目の描写、過去の職能が現世で光を差す場面が読みどころ。繰り返される光と影の操作は、取り戻す代償と個人の喪失──特に母の輪郭が欠けたまま残るルナの葛藤を際立たせる。