月蝕航路の港湾技師
欠けた円が示す潮路を、手で――港は壊して守る。
あらすじ
港町で潮の流れを「読む」設計者のリオ(作中では遼とも呼ばれる)は、欠けた円の刻印を持つ金属片や、折れた翼に刺さる銀色の欠片といった不可解な痕跡を追う。左耳の高音を失いながらも、彼は仲間たちとともに壊すことを織り込んだ“帰るための港”の設計を進め、王都の杭や海底に眠る古い機構の存在に気づいていく。港と人々を守るか、王都の支配に屈するか——蝕夜を前にした判断と、それに伴う危険が物語の中心葛藤だ。読みどころは、潮脈を視る描写と手旗や合図で交わされる非言語の連携、そして月と海が織りなす静謐で不穏な夜景の描写にある。