天穹司書の解放譚
失われる声を、紙で守る。校正者はページの彼方へ誓う。
あらすじ
夜の校舎で校正者として疲れた日々を送っていた相沢透――現在は『トオル』として、空を浮遊する巨大な図書館に身を置く。図書館の心臓である星脈炉が危機に陥り、彼は仮司書章を託される。仕事は封印書の中に紛れた“偽りの一行”を当事者の声を元に読み替え、現実へとつなぎ直すこと。ただし誤った読み方は物語を暴走させ、誰の記憶も文字へ変えてしまう危険がある。ネム、ミナ、ガルド、リュネとともに、沈みゆく図書館と港町で交錯する記憶と物語の狭間を歩むトオルの選択と代償が、本作の中心テーマになる。頁から立ち上がる舞台、押し寄せる「正史」を巡る対立、個々の声をどう守るかを問うドラマが読みどころ。