氷鱗鍛冶師の再生王国
壊れたものに残る声を、彼女は直す。
あらすじ
北境の小さな鍛冶屋を拠点に、リュネという若い鍛冶師の娘と、その仲間たちが、氷に閉ざされた国の“炉脈”と記憶を巡る異変に立ち向かう物語。序章では収蔵庫の古い箱から拾われた折れた小鍵が登場し、その触れ合いが記憶と熱の断片を呼び起こす。リュネは「凍結再生」と呼ばれる、壊れた武具の“最後の意志”を取り戻す技術で武具の記憶を修復するが、それは彼女自身に代償を残す。炉脈を巡る枯渇と、都市を一律に装備で制御しようとする勢力(ヴァルグ)の理論的な抑圧との対立、仲間(盲目の鉱脈師ミラ、伝令のカイ、王家に縁ある戦士セレネ、毛むくじゃらの同行者トト)との絆、そして“直すこと=声を返すこと”という倫理的選択が物語の中心。冬冠城や氷原、地下工房といった舞台描写、武具を通じて蘇る記憶の描写が読みどころで、王都からの召喚が新たな問いを残して物語は続いていく。