嘘つき地図教師
地図と嘘が海の記憶を揺らす。教師は何を選び、何を手放すのか。
あらすじ
水城透(トオル・ミズキ)は、分校で教壇に立つ教師だが、掌に現れる「嘘の地図」を抱えている。港町では王都からの書類が航路の一元化を求め、旧灯台や沈んだ校舎をめぐる調査が町の習俗や歌と衝突する。航路は座標ではなく歌や記憶で繋がれてきた――そんな町で、トオルは七年前に消えた名前と、海底に残る教室の痕跡を見つける。公文書と口承、王都の白地図と人々の断片化した記憶がぶつかる中、彼は「地図」で誰かの選択を奪うのか、それとも記憶をめぐる議論を共同で紡ぐのかという難問に向き合う。物語は、灯台の下の失われた声、潮を読む歌、掌に浮かぶ虚図といった象徴を通して、教師の倫理と共同体の記憶の在り方を描く。