砂丘の図書室の司書は忘れ物を返す
忘れ物が、町の声を取り戻す。
あらすじ
砂丘の図書室を守る司書ミオは、忘れ物に触れることでその持ち主の疲労を一度だけ“見える形”にする力を持つ。日々、手入れをしては鍵や手袋、茶筒といった逸失物を住人に返す彼女だが、町には「効率化」を掲げた開発計画が迫り、図書室と暮らしが危機に晒される。計測器の設置や説明会を巡って住民と行政の意志が対立する中で、ミオは自分の力の代償と共同体としての選択に向き合わねばならない。本作は、静かな日常描写と手入れを通じて見えてくる記憶──人々の疲れや決意が交錯する、人と場をめぐる物語である。